
マンションの検査員と聞くと、建築の知識が豊富で、建物のことを何でも知っている人を想像するかもしれません。
確かに、検査には建築の知識が必要です。
でも、最初から何でも分かる人ばかりではありません。
では、検査員はどのようにして仕事を覚えていくのでしょうか。
建設現場には、たくさんの材料や設備があり、工事も日々進んでいきます。
初めて現場に入った人にとっては、目に入るものすべてが新鮮かもしれません。
例えば、壁や天井ができる前のマンション。
普段生活している部屋とは違い、配管や配線、下地など、完成すると見えなくなる部分を見ることができます。
でも、ただ眺めているだけでは、どこを確認すればよいのか分かりません。
そこで大切になるのが、先輩から教わったことを実際にやってみることです。
図面や確認項目と現場を照らし合わせながら、少しずつ仕事の流れを覚えていきます。
私たちが、新しく検査の仕事を始める人に大切にしてほしいと考えていることがあります。
それは、特別な知識や経験よりも、まず学ぼうとする姿勢です。
教わったことを素直に受け止め、実際にやってみる。
分からないことがあれば、分からないと伝える。
そして、知らなかったことを一つずつ知り、覚えていこうとする。
当たり前のことのようですが、仕事を覚えていくうえで、とても大切なことだと思います。
特に検査の仕事では、分かったつもりで判断してしまうことが、確認漏れや思い違いにつながる場合もあります。
だからこそ、分からないことをそのままにせず、確認できる姿勢を大切にしたいと考えています。
最初は先輩に教えてもらわなければ分からなかったことも、経験を重ねるうちに、少しずつ自分で気づけるようになっていきます。
「ここは確認しておいた方がいいな」
「前に見たものと、少し状態が違うな」
そんな小さな気づきが増えていくのも、検査の仕事の面白さのひとつだと思います。
もちろん、気になる箇所を見つけるだけが検査員の仕事ではありません。
何のために確認するのか、どのような基準で判断するのかを理解することも大切です。
知識と経験を積み重ねながら、少しずつ仕事を覚えていくのです。
仕事に慣れてくると、つい自分の経験だけで判断したくなることもあるかもしれません。
しかし、建築の世界は幅広く、経験を積んでも知らないことや、初めて出会う状況があります。
そんなときに、無理に答えを出そうとせず、周囲に相談したり、図面や資料を確認したりできることも大切です。
質問することは、決して悪いことではありません。
一つひとつ確認しながら、理解を増やしていく。
その積み重ねが、少しずつ自信につながっていくのだと思います。
検査の仕事を知ると、普段何気なく見ているマンションにも、たくさんの人の仕事が関わっていることに気づきます。
壁の向こう側や天井の上など、完成すると見えなくなる場所にも、さまざまな工事が行われています。
そうした部分を確認する検査の仕事も、建物づくりを支える仕事のひとつです。
最初から何でも知っている必要はありません。
教わったことを実践し、分からないことは確認し、もっと知りたいと思いながら経験を重ねていく。
そんな前向きな気持ちを持って、一歩ずつ成長していけることも、検査という仕事の魅力ではないでしょうか。
担当:髙村